ワイモバイルのポケットWi-Fi「603HW」の性能と評判

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2017年2月に発売されたモバイルルーター「603HW」は、モバイルWi-Fiで最速の下り最大612Mbpsの高速通信に対応しています。

動画配信やオンラインゲームなどをよく使うユーザーにとって、高速通信は大きな魅力です。603HWは、光回線並みのスペックをモバイルWi-Fiに求めるユーザーの福音となりうるでしょうか?

ワイモバイルのポケットWi-Fi「603HW」のスペック

ポケットWi-Fiの名前通り、約109.9×65.1×15.5mmで名刺より一回り大きいサイズ、重さも約135gなので持ち運びには苦労しません。

2.4インチのカラーディスプレイを持ち、データ通信量などの確認やタッチ式での設定が可能です。バッテリーは2400mAhの容量で、連続待受が約850時間、連続通信時間は約8.5時間(省電力設定あり)になります。

電源オンから5秒で高速起動し、すぐに使えるのでイライラすることも少なくなるでしょう。

下り最大612Mbpsの高速通信対応

603HWが注目を集めるわけは、なんといってもモバイル通信最速の下り最大速度612Mbpsを実現している事でしょう。

複数の周波数帯域の電波を束ねて使用する「キャリアアグリゲーション」と、送信用(基地局)と受信用(端末)で各々4本のアンテナを使用して同時にデータ通信を行う「4×4 MIMO」の技術を前モデルの504HWに引き続き採用。603HWでは、情報密度を高めデータ量を増加させる256QAM(256カム)を実装して、最速の通信速度を実現しています。

5GHz帯のWi-Fi接続にも対応

LAN側のWi-Fi接続には、一般的な2.4GHz帯のほか5GHz帯にも対応しています。

2.4GHz帯は遠くまで電波が届き、壁や床などの障害物にも強い周波数帯域です。ただし同じ周波数を使用するBluetoothやコードレス電話機、電子レンジの電磁波などの電波干渉を受け通信が不安定になる弱点があります。

5GHz帯は電波干渉を受けにくく、通信の途切れや速度低下も無く安定した通信が可能です。一方で5GHz帯の電波が届く範囲は2.4GHz帯より狭く、遮蔽物にも弱いので電波状況に応じて使い分けるのが良いでしょう。

また日本国内では電波法の関係上、屋外での5GHz帯の電波利用に一部制限がかかります。603HWは屋外で5GHz帯が利用できますが、気象レーダーとの干渉を避けるDFS機能が働くため、電源オンやWi-Fiスリープからの復帰時には接続まで1分ほどの確認時間が必要です。

USBケーブルはType-C

パソコンやタブレットなどの端末との接続は、Wi-FiだけでなくUSBによる有線でも可能です。

603HWでは、USBの新規格であるType-C(USB 3.0)を採用しています。最大5Gbpsの転送速度があり、iPhoneのLightningケーブルのようにコネクターに表裏がありません。最近ではスマホのハイエンド機種を中心に、Type-C採用機種も増えてきています。ルーター用にモバイルバッテリーなどを準備するときには、Type-C対応のモデルを選ぶと良いでしょう。

603HWで利用できる料金プラン

ワイモバイルのポケットWi-Fiでは、ルーターの機種ごとに料金プランが決まっています。603HWは「Pocket WiFiプラン2」となり、契約期間は3年間です。

Pocket WiFiプラン2

Pocket WiFiプラン2は、月間通信容量の上限が7GBのプランです。月額料金は4,196円ですが、3年間の契約で毎月500円が割引される「おトク割」が適用され月額3,696円になります。

7GBを超えた場合は、月末までデータ通信の制限が行われ128Kbpsまで低速化されますが、500MBごとに500円の追加料金を払えば通常速度に戻すことが可能です。インターネットの会員ページからの申し込みが必要ですが、「快適モード」を設定すれば、申し込み無しで自動的にデータ容量を増やしてくれます。追加する回数の上限も設定できるので、知らない間に使い過ぎる心配もありません。

アドバンスオプション

確実に月間7GB以上使用するようであれば、月間の通信容量制限が無くなる「アドバンスオプション」を選択した方が良いでしょう。

月額1,684円の追加料金がかかりますが、アドバンスオプション割引が適用され月額684円で使い放題になります。

アドバンスオプションの利用にはアドバンスモードへの変更が必要

アドバンスオプションは、申込みだけでは使用できません。603HWのネットワーク設定で、アドバンスモードを選択しておく必要があります。アドバンスオプションに加入済であっても、アドバンスモードを選択していなければ、7GBを超えた時点で追加料金が発生するので注意が必要です。

アドバンスオプションとWiMAX、どちらが便利?

ポケットWi-Fiのライバルになるのが、UQコミュニケーションズが提供するWiMAXです。最新のWiMAX2+では下り最大558Mbpsに対応したルーターを発売し、通信速度でも競い合っています。

動画や音楽、オンラインゲームなどデータ量が増えた昨今、インターネット利用では使い放題が常識です。

ワイモバイルのアドバンスオプションに対し、WiMAXでは「ギガ放題」の名称で、月額定額の使い放題プランを準備しています。使い放題プランを前提に、ポケットWi-FiとWiMAXを比較してみましょう。

エリアの広さはWiMAX

スマートフォンなどで使用される700~800MHz帯のLTE回線と2.5GHz帯を使用するAXGPを組み合わせてサービスを提供するワイモバイルに対し、WiMAXは2.5GHz帯がメインで、LTE回線の利用はオプションになります。

LTE回線網は人口カバー率99%を達成し日本中どこでも利用が可能ですが、ワイモバイルのアドバンスオプションを使用する際はAXGPの提供エリアのみとなり、LTE回線網では利用できません。

サービスエリアを比較すると、エリアマップを見る限りLTE>WiMAX2+>AXGPに見受けられます。

大都市や政令指定都市などの人口集中エリアにおいては、アドバンスオプションとWiMAXのどちらもほぼ同じで変わりません。

特に差が付くのは、地方でも中心部から外れたエリアや人口の少ない地域です。AXGPはエリア外になっていても、WiMAXはカバーしているエリアが多くなります。

速度制限の内容はほぼ変わらない

使い放題だからといって1日に数十GBも使用するユーザーが増えると、速度低下や通信遮断などのトラブルが発生してしまいます。そのためアドバンスオプション、WiMAXともに混雑緩和のための通信制限が行われますが、その条件や制限内容にほとんど差はありません。

3日間のデータ量が約10GB以上を超えた場合という条件、制限がかかった後の通信速度も約1Mbpsで同じです。

異なるのが制限のかかる時間帯で、アドバンスオプションは翌日の18時から翌1時まで、WiMAXは翌日の18時から翌2時と少し長くなります。

両方とも通信速度は約1Mbpsに低下しますが、WEBやYouTubeの標準動画などは閲覧できるスピードですので、一般的な使い方であれば影響は少ないはずです。

使い勝手はWiMAXが上

通信速度やエリアも重要ですが、設定の簡単さや契約の明瞭さも使い勝手に影響します。

使い放題のため追加料金の心配はありませんが、WiMAXの方が設定や料金体系がシンプルでユーザーフレンドリーです。

標準の通信モードが使い放題になるので設定いらず

アドバンスオプションの申し込みとルーターの設定が必要なワイモバイルに対し、WiMAXは「ギガ放題」プランを申し込むだけで、ルーターの通信モードの設定は必要ありません。ギガ放題からプラン変更する場合も、会員ホームページから申し込むだけで済みます。

ただし、LTE回線を利用する「ハイスピードプラスエリアモード」のオプションはルーター側で設定が可能です。エリアの広いauのLTE回線を利用できますが、ギガ放題プラン加入済みでも、ハイスピードプラスエリアモードでの月間のデータ通信量が7GBを超えると、WiMAXも128Kbpsに制限されるので注意が必要です。

料金体系がわかりやすい

WiMAXは、月間7GBのデータ量の上限がある代わりに料金を抑えた、いわゆる「標準プラン」と、使用量に上限の無い「ギガ放題」のプランを契約年数で選ぶだけです。標準のプランにオプションを追加して使い放題プランに変更するワイモバイルは、プランとオプションのそれぞれに割引があるため、わかりにくい料金体系になっています。

また603HWの機種代金は月額1,600円(36回の賦払いの場合)となり、月額割引1,100円が適用され実質負担額は月額500円になります。WiMAXも機種代金がかかりますがプロバイダのキャンペーンで無料になるケースも多く、支払いは月額の通信料金だけになるのでシンプルです。またワイモバイルでは契約期間中に解約を行った場合、賦払いの機種代金の残債を、割引なしの価格で支払う必要があります。

解約時に一括払いもできますが、契約の残り月数が多い場合は高額になるので注意しましょう。

まとめ

603HWは最大通信速度612Mbpsが一番のアピールポイントですが、利用できるエリアはホームページのエリアマップで確認できません。

一部エリアから順次展開中で、全国主要都市に展開するとのことですが、自分が使用する場所が対応しているかどうかはワイモバイルに確認する必要があります。603HWの高速通信は大きな魅力ですが、実力を発揮できるのはこれからになります。

現状では、使い放題になるエリアの広さやシンプルな料金体系で安心して使えるWiMAXが、賢い選択といえるでしょう。