高性能タブレットや、軽量モバイルノート、そして格安スマホのラインナップも豊富になりモバイルシーンが豊かになってきました。
端末の種類が増えることで、私達消費者は選択肢が増えるとともに、市場の競争原理が働くことによって、より安く質の高い商品を手に入れることができるようになりました。格安スマホ・SIMフリースマホに至っては、数年前とは比較できません。
高嶺の花だったSIMフリーiPhoneでさえ、アップルストアで買える時代なのです。香港のアップルストアや、アメリカのVerizonモデルを買いに遥々海を超えた時代を思えば、夢の様な環境です。
しかし、商品の飽和は開発メーカーに取ってはデメリットにもなります。スペックやコンセプトが横並びになるため、Appleのような付加価値を生み出せる企業以外は価格を下げるしか市場で生き残るすべがないからです。
そんな飽和し価格が正義となガジェット業界。その中で今最新のトレンドは、モバイル通信機能を備えたSIMフリーノートPCです。
この流れで一番気になるのは、WiMAXなどのモバイルWifiが過去のものになるのか?というところでしょう。
モバイル通信可能なノートPCの登場で、これらのサービスが無くなるのかという考えに関して、個人的にはその心配はない。というのが正直な感想です。
むしろ住み分けがハッキリすることで、モバイルWifiの有用性や特徴が再注目されるのではないか、と思っています。
個人ユーザーにメリットのなかったWWAN搭載PC
格安SIMを挿すことのできるLTEモジュールを内蔵することで、公衆WifiやWiMAXなどモバイルWifiに頼ることなく、単独で通信を可能にするノートPCやタブレット型PC。
モバイル通信モジュールを搭載して、単独で通信させるノートパソコンは過去にいくつも発売されていました。法人向けには、継続的にラインナップされていたモデルもあったものの、個人向けの場合はほとんど根付くことなく今に至ります。
根付かなかった原因の一つが、いわゆる携帯キャリアやモバイルWifi主導のモデルであったこと。高額なPCに加えて、月額数千円の契約料金と2年間の違約金縛りなど、個人ユーザーにとって割高なコストを要求するサービスであったからでしょう。
割高な端末料金と、毎月数千円の利用料を支払いをしたにもかかわらず、契約が終われば他の通信サービスが利用できないPCだけが残りました。
ですがメーカーがイニシアチブをとっていたモバイル通信回線も、格安SIMの台頭で潮目が変わってきます。
格安SIMでモバイル回線維持費が大幅に低コスト化
格安SIM回線の高速バンドルの容量アップと、低価格化により個人ユーザーが気軽にモバイル通信を持てる時代に変化しました。
大幅に低コスト化し、それまでは1人1回線だった回線が、端末ごと、利用シーンごとに複数回線を運用するほうが、コスト的に安く上がるようになったのです。
モバイル回線を持つことが大きな負担でなくなったことにより、端末に1つ回線を紐つけることに経済的心理的障壁が大きく下がりました。
ノートPCの軽量化駆動時間アップ
格安SIMによるモバイル回線の低コスト化と流れを同じくして、ノートパソコンも薄型軽量バッテリーの長寿命化と技術の革新が進みました。
10万円超クラスのノートPCなら、すでに1kgを切るモデルも数多く販売されていています。バッテリーも半日以上充電いらずで駆動するモデルや、タブレット並に軽量化されたラップトップパソコンまで登場しています。
持ち歩くことを前提とした端末が増えたことにより、モバイル回線の需要は更に高まりつつあります。
格安SIMの低価格化による、回線取得や維持への経済的心理的な障壁の低下。モバイルPCの軽量化バッテリ長寿命化による、機動性の向上がモバイル通信機能を搭載したノートPCの需要を大きく後押しすることになりました。
パソコンだけでどこでも繋がる
WWAN搭載のモバイルノート最大のメリットは、当然どこでもネットに繋がるモバイル性能の高さ。
モバイルWi-Fiなどを利用していると感じるのですが、パソコンを開いて、ルーターやスマホを起動させてネットに接続するのは意外と手間です。
すぐにWi-Fiの電波を拾ってくれればいいのですが、なかなか拾わなくて数分くらい待たされたりすると、今から仕事をしようと思ってパソコンを開いたのにやる気が削がれてしまうことも。
パソコンを開いてから、ネットに繋ぐ流れがスムーズでないと集中力ややる気が削がれてしまう人には、パソコンだけでネットに繋げるSIMフリーパソコンと言うのは一つの選択肢になりうる端末です。
また、モバイルWi-Fiと比較して割安な通信料金と縛りのない契約も魅力的といえます。
SIMフリーであることで、自分の気に入った会社と契約することもできますし、サービスの質が想像していたより悪くても、気兼ねなく乗り換えられるフットワークの軽さも魅力的です。
ここまで書くと、WiMAXに代表されるモバイルWi-Fiなんて契約するだけ無駄なように見えてしまいます。事実費用対効果を考えると、モバイルWi-Fiは格安SIMの足元にも及びません。
モバイルWi-Fiを選ぶ意味はあるのか?
SIMフリーPCが最強でモバイルWi-Fiなんて過去のものになってしまったのか?というとそうではありません。
SIMフリー端末が増えてきたとは言っても、WiFiオンリーの端末のほうが多いのが現状です。ノートパソコンにかぎらずタブレットなども、WWANモジュールを搭載しているモデルのほうが珍しいくらいです。この傾向は今後も変わらないでしょう。
いくら格安SIMや格安スマホが有名になったとしても、市場の規模としてはWiFiモデルよりずっと小規模な市場なのです。
今後はSIMフリーモデルが増えてくると予想しますが、今から積極的にSIMフリーに買い換えるにも費用がかかります。お気に入りのモデルがSIMフリーに対応しないかもしれません。
ノートPCやタブレットPCで見れば、SIMフリーモデルの多くはハイエンド機やビジネス向けの高価な端末に多く、人気の3万から5万円台ノートパソコンへの搭載はありません。
昔からのSIMフリーユーザーでもなければ、持っている端末のほとんどがWiFiなんて人も少なく無いでしょう。
このように、手持ちの端末にWi-Fiモデルが多いなら、複数端末の接続に対応しているモバイルWi-Fiのほうがコスト的に有利なのです。
速度面でも格安SIMより、モバイルWi-Fiの方が安定した高速通信を行えることが多いですね。WiMAXなら低速の光回線と同等か其れ以上の速度で無線通信ができます。
モバイル回線でつなぐ端末がノートPC1台であれば、余分に予算を追加してでもSIMフリーモデルを購入することをオススメします。ですが手持ちの端末にWi-Fiモデルのタブレットや他のPCがあるのであれば、その端末の利用頻度を考えて、モバイルWi-Fiの選択肢も残しておくほうがいいでしょう。
まとめ
現在はハイエンド機ばかりのSIMフリーノートPC。あと数年もすれば格安PCからでも選べるようになるかもしれません。
しかしいま現在格安SIM+SIMフリーPCは、予算が潤沢にある人向けのリッチコンテンツであって、一般ユーザーにとっては予算的や端末の兼ね合いからモバイルWi-Fi優勢がしばらく続くと予想しています。
よく外出先でパソコンを操作することの多い私自身はmSIMフリーPCは興味がありますが、モバイルWi-Fiを捨ててまでSIMフリーに乗り換えようとは思いません。
複数人でわいわい繋げたり、Wi-Fiの調子が悪い友人に使わせてあげたりすることで、スムーズなコミュニケーションにもつながります。そういう意味で、なかなか手放せないツールだというのが本音ですね。